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個室トイレにて










今日、駅トイレの個室にて撮影した写真である。梅酒とおにぎり。

この写真に一体何種類のバカが潜んでいるか。俺と一緒にカウントしていこう!

まず、一番最初に考えられるのは「トイレでポイ捨て」バカだ。
「めんどくせーから、ここで捨てていこう。誰も見てないし」という公序良俗に反する一番悪いバカかもしれない。

次に「個室トイレで晩酌」バカ。
「誰にも見られないウンコ臭いこの空間で、一杯。・・・コクコクコク、パァー!くぅー!たまんねえな!」通だねえ。でもバカだぁ。あんた、バカだぁ。

食べ物とお酒が一つずつ、この組み合わせなら「神への供物バカ」の可能性もある。
バカとは言ったが「駅のトイレに神なんていねえよ」と切り捨てるのはちょっと待ってほしい。供物を捧げる理由を以下に挙げておきたい。

浩太は走っていた。「くそ!やっぱり遅刻覚悟で家でウンコしてくれば良かったぜ」下痢っ腹を抱えながらホームを駆けていく。
トイレが見つからない。「なんで新宿はこんな広いんだよ!」毒づいたってしょうがない。
やっと見つけたトイレは人でいっぱいだった。腹具合から言って、とても持ちそうにない。
その場で留まれば待っているのは確実な死だ。仕方なく別のトイレを探しに行く。とは言ってもアテはない。
駅をさまよう浩太の足取りが重いのは、腹痛の悪化のせいだけではない。絶望感。もはや軽口も叩けない。「俺はウンコを漏らすのだ」それだけが浩太の頭を支配する。
もはや歩くことさえできない。足がガクガク震える。下腹部の痛みは限界。周りはスーツ、制服の波。
「もう・・無理だ」臨界行の修行僧だってこんなの我慢できやしない。
そのとき、背後から声がした。
「おーい、浩太ぁ!」
振り返るとクラスメートの良介。死んだ。よりによって良介か。
良介の動きが止まった。俺がすごい顔をしてたせいだろう。怒ってるような泣いてるような鬼気迫る顔。
痛い。漏らす。見られる。痛い。ウンコ。良介。足ヤバイ。漏らす。痛い。漏らす。漏らす。
一瞬の思考が一気に押し寄せる。永遠のような一秒。浩太はとうとう「そのとき」を迎えた。
辺りに茶色い悲鳴がこだまする中、浩太はただ一人、たしかに神を見ていた。


問題は「浩太くんの供物を食った」バカだよ!このバカ!

世界はバカで溢れてる。

そして、個室トイレ内でシャッターを切る俺は確実に周りから「ウンコ撮影」バカだと思われてる。

こうしてバカで溢れてく。

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